トライアンフ ストリートトリプルの始動不良修理を承りました。
結果的にバッテリーの寿命でしたが、この診断は多くありながらも意外に難しいと思っています。
新品のバッテリーを搭載したのにもかかわらず、すぐに症状再発させてしまうのは整備士にとって恥ずかしい事ですので、念入りにチェックをした上でバッテリー単体の不具合だった事を確認していきます。
まずは新品のバッテリーを搭載。
新品のバッテリーは充電しなくても良いと聞いたことがありますが、当店では初期充電を行ってから搭載します。
また、バッテリー端子接点の腐食を防止する為にリチウムグリスを塗っておきます。
初期充電からしばらく落ち着かせて、バッテリー電圧のチェック。
12.9Vなので正常値。
リーク電流の測定。
-0.4mA。正常値は車輌によると思いますが、一般的には-1mA以下とされています。
バッテリーのマイナス線にクランプ型の電流計をセット。
この電流計のセットには向きがありますので、メインキーをオンにして確認。
エンジンをかけていない状態で値の前に「-」の表示が出ればOKです。
「-」はバッテリーから放電されていることを意味し、この状態だと3A放電している事を示します。
この車輌のヘッドライトはLEDなので値が低いですが、ハロゲンバルブで60W消費するのであればそれだけで5A。その他テールバルブやメーターバルブ等で消費するため5A+αの値が出ます。
エンジンをかけて、充電電圧の測定。
約14.2V。この数値が異常であれば、充電系や発電系の診断が必要。
念のため、充電電流の測定。
落ち着いてきて約5.8A。始動直後はセルモーター使用によりバッテリーの電気を大量に消費しているため、更に大きな値を示します。
値の前に「ー」が付いていないのはバッテリーに充電されている事を意味します。
意外と気を使うバッテリー単体の異常かどうかの判断の様子はこんな感じです。
電気系のトラブルは論理的に解決する必要がありますが、そのためには最低限の基礎知識が必要です。
電気は苦手!って言う整備士は多いですが、苦手意識は有りませんので、もっとややこしい作業でも大体は対応できるかと思いますので、何なりとご相談ください!